どいの父ちゃんのブログ

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少年による もう一つの「レクイエム」

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映画「アマデウス」では、モーツァルトの遺作「レクイエム(鎮魂ミサ曲)」の作曲シーンが劇的に描かれます。
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これは、モーツァルト殺害=サリエリによる「神への復讐」の重要な場面…
この映画は大好きですが、父ちゃんは、モーツァルトのレクイエムは、実はあんまり好きではありません。
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CD1枚だけ(ケルテス指揮/ウィーフィル)もっているけれど、ほとんど聴かない。
(なんだか、暑っ苦しいのです…不遜ながら…)スミマセン <(_ _)>

「レクイエム」で好きなのは、フォーレの作品。
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特に、ボーイソプラノを起用した「ミシェル・コルボ指揮/ベルン響(1972年)」が素敵。
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…というか、これしか持っていなかった。
少年の清らかな声が、聴いていて「穏やかに心洗われる思い」にさせてくれます。
やはり「少年!」なのです、この曲を歌うのは。

この好きな曲を他の演奏者でも聴きたくて…
コルボ指揮以外に、少年が起用されたレクイエムがあるかどうか、最近探しておりました。
そして見つけたのが…コレ
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↑ボーイズエアクワイヤ(BAC)「楽園にて」(2004年?録音)
事前の知識なくAmazonに注文した中古音盤。送料税込で1,200円でした。
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ジャケットの装丁は、なんだか少年アイドルユニットっぽい雰囲気が…なくもない。
もしかしてハズレだったらやだなぁ~と思いつつ、かけてみたら…
おお。悪くないですよ、これは。
 
合唱団(BAC)は8名編成で、楽器編成も小さい。
オルガンの厚い響きはあるけれど、コルボ指揮のような壮大さはない。
 
調べてみたら…
この曲が初演されたとき、元々は小さな編成だったそうですね。
フォーレのオリジナル楽譜も小編成用のものだったとか。
後に、フォーレの弟子(?)が大編成用に改編した楽譜があるんですって。
(ずっと聴いてきた「コルボ盤」は、この大編成用だったみたい…)
 
BACについても調べてみた。(間違ってたら、すみません)
1990年代に、英国に天才的な少年歌手が現れた。その名は「コナー・バロウズ」という1983年生まれの男の子。
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BACは、そのコナー君を中心に、英国の少年合唱のソロイストを集めて編成されたらしい。
コナー君自身は、歌い手としては初期のみの在籍のようで、今は同合唱団の指揮をしているとか。
 
今回、父ちゃんが購入した「楽園にて」は、声変わり前のコナー君の歌唱に、声変わり後の「バリトン」としての歌唱を乗せたもののようです。
この「レクイエム」の少年:コナー君のソロは、素晴らしい。
声の美しさと安定感は、今まで聞いたことのある少年歌唱の最高峰だと思いました。
バリトンとしての丁寧な「大人の歌唱」も柔らかい極上の美声では、あります。
しかし「敬虔な祈り」の雰囲気は、コルボ指揮の音楽に比べると、希薄です。

コルボ盤の第4曲「ピエ・イエズス」でソロを歌う少年(その名は「アラン・クレマン」)の声は、コナー君に比べると不安定。
だけど、その不安定さ(あやうさ)が、かえって神様の前での人間の無力さ(≒絶対他力的な素直さ)を感じさせ、浄らかさの源泉になっている。
 
BAC版の(たぶん)スタジオでの重ね録りでは出しようがない「教会の静謐で浄らかな空気」が伝わってくることも、魅力です。
この敬虔な空気は、コルボさんや他の大人たちの人間力によるものでもあるのでしょう。

好きな曲の聴き比べは面白い。
辛口批評をしたけれど、BACCDもとっても気に入っていますヨ。買ってよかった。

追伸…
ガブリエル・フォーレが「レクイエム」を初演したのは、パリのマドレーヌ教会だそうで。
(↑これも、今回ネットで調べて分かった父ちゃんにとっての新知識)
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マドレーヌ教会は、3年前のパリ旅行散歩で偶然立ち寄った場所として記憶に残ります。
…なんだか、ますます「レクイエム」が好きになっています。
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