その1:母のはなし
先日、母を連れてお寺見物に向かう車中で聞いた話
「この間、県立病院に行ったとき、駅のベンチが濡れていたの。ベンチには男の人が座っていてね…その人、ハンカチを出してベンチを拭いて」
「お座りになりませんか。 あ。私が座っていた席の方が暖かいので、こちらへ」
「ご丁寧にありがとうございます。こんな年寄りに」
「何をおっしゃいます。…失礼ですが、干支は何でいらっしゃいますか?」
「辰年ですのよ」
「辰…、私もそうです。昭和15年ですか?」
「いぇ…昭和3年ですのよ」
「いや、これは失礼。私よりも一回り、お上でしたか。そうは見えませんでした」
…なかなかイケメンな老紳士だったそうで。母はウレシカッタそうです。
その2:どいのはなし
今でも、ときどき母ちゃんと話す話題。
どいの中で、家族の序列は…
父ちゃん>母ちゃん>こたちゃん(長男)>どい>たー(次男)
だった。
どいは、散歩に行くときはいつだって大喜びだけど。
一緒に行くのがたーだと、途端に態度が横柄になった。
「たーと一緒に歩いてて、あっちから悪い人とか犬が来たらどうするの? 不安」
とでも言ってるような顔つきだった。
どいが我が家に来たとき、たーはまだ幼くて、頼りなく見えたのかな?
「自分の方がしっかりしてる=どいの方が偉い」
って、思ったのかもしれない。
だけど、どいが亡くなってから、たーはどいのお骨をみて泣いてくれたよ。